アイドル、それは女の子の永遠の憧れ。

「あなたにとってアイドルとは?」

 

 このセリフは、アニメ『アイドルマスター』第一話「これからが彼女たちのはじまり」にて、記者吉澤氏が765プロアイドルそれぞれに行った質問である。

 一見取材対象へ投げかける質問としてはありきたりな問いのように見えるが、これを作中アイドルに対して行う質問、というだけで済ませるのはあまりにも勿体ないのではないだろうか。    

 吉澤記者は、きっとアイドルマスターというコンテンツに関わる全ての方々に同じ質問を投げかけているのではないだろうか。

 

 さて、話は変わるがアイドルマスターはアイドル活動を通して女の子の成長を見守っていくというのがコンセプトのゲームだ。プロデューサーという立場に立ち、アイドルを通して成長していく女の子たちと時に笑い合い、時に共に泣き、時に淡い想いに心を通わせて……。

 プロデューサーという主人公と出会うことによって作中のアイドル達はトップへの道を駆け上がっていくのだ。

 

 ではプロデューサーに出会えなかったアイドル達は一体どんな世界を歩いていくのだろうか。

 プロデューサーという主人公に出会えなかったアイドル達。これを読んでいる方々はもしかして心当たりがある存在がいるのではないだろうか。

 もしかしたら圧倒的な才能に恵まれていたかもしれない。もしかしたら血の滲むような努力をしていたのかもしれない。もしかしたら、アイドルという存在に誰よりも強い憧れを抱いていたかもしれない。でも、それでも、ゲームの主人公に出会えなかったことを機にトップアイドルになれなかった少女がシャニマスには存在している。

 

 彼女の名前は、『アイドルC』。

 

  プロデュースシナリオ、W.I.N.G編において幾度となくプレイヤーたちの優勝を阻んできた存在。サービス当初は私も何度も彼女に苦い思いをさせられ続けてきたことを思い出す。決勝戦Vo1位だった時の絶望感と言ったら。今はサポートアイテムもたくさん持ち込めるようになり多少攻略も楽になっただろうが、サービス開始当初は完全に運ゲーなどと言われたものだ。

 話が横道にそれてしまったので本筋に戻そう。

 さて、そんな決勝戦において何度も姿を現し我々プレイヤーとアイドルを脅かす存在。彼女こそ、アイドルマスターシャイニーカラーズというゲームに囚われ続けている一番の被害者なのではないだろうか。

 

 シャニマスアイドル達はW.I.N.G編を経てファン感謝祭編へと歩みを進めていく。しかし、アイドルCの背景は決して語られることは無い。そりゃゲーム内においては固有の名称さえないただのモブである。しかしながら圧倒的な歌唱力があり、ダンス、ビジュアルの面でだってW.I.N.Gで決勝までのし上がってくるほどの折り紙付きだ。そんな彼女のトップアイドルとしての道程が、ただ一人のモブとして終わってしまうのはあまりにも悲しすぎるのではないだろうか。

 もちろんメタ的な視点を入れてしまうと、このゲームは283プロダクションのアイドルをトップへと導いていくことを目的としたゲームだ。他事務所のアイドル、ましてや名もなきモブに感情移入をすること自体がお門違いだと言われてしまったらそこまでだろう。

 

 しかし私はどうしても思ってしまう。『アイドル』それは女の子たちの永遠の憧れ。それはきっと彼女だってそうに違いないのだ。努力、才能、時の運。それを全て味方につけた女の子こそがその頂点へと辿り着けるのだ。アイドルに憧れる”女の子”にはきっと、各シーズンで敗れていったアイドル達やW.I.N.G本選でしのぎを削った少女たち、その全てが含まれているということを。そんな名も知れぬ少女たちの夢を踏み台にして、283プロのプロデューサーと担当アイドルはトップへの道を駆け上がっていくのである。

 

 さて、最初の問いかけに戻ろう。

「あなたにとってのアイドルとは?」

 その問いかけに、私は自信を持ってこう答えよう。

 私にとってのアイドルとは、夢と現実の狭間で開演する舞台であると。少女たちの夢、そして我々の夢が存在する場所であり、その舞台裏にはあまりにもリアルで、あまりにも残酷な現実が広がっている。283プロのアイドル達が立っているのはヒノキやナラの木張りのステージだけではない。自らの憧れと意思で踏み台としてきた、多くのアイドル達の上に彼女たちは立っているのだ。

 

 だから、時折思い出して欲しいのだ。

 夢見る少女たちが大勢あの世界には存在していたということを。その中でも圧倒的な歌唱力で恐らく多くのファンを魅了してきたであろう彼女のことを。

 『アイドルC

 私は時折たまらなくなるほど、名もなき彼女の叶わなかった夢に一種の羨望と無念さを感じてしまう。

 

 シャニPよ、君に誰かの憧れを踏み越える覚悟はあるか。

 私は彼女の叶わなかった夢を抱いて、憧れの先を見続けていこう。

 

シンデレラは12時の鐘を鳴らさないし翼が無くても君と何処までも行くし煌めく出会いをありがとうはこっちの台(ry

 はい、ということではじめましての方は初めまして、ごひいきにしてくださってる方は今後とも仲良くしてくださると嬉しいです、どうもくまたろうでございます。

 アイドルマスターシンデレラガールズ7thLIVE TOUR Special 3chord♪ Funky Fancing!お疲れ様でございました。両日ともにご縁があり現地参戦でしたが、新曲、サプライズゲスト、新しくボイスの付いたアイドルのお披露目、そして最後の新情報と本当に盛りだくさんの二日間でしたね。いやぁ、楽しかった。魂がいまだにナゴドで踊ってらぁ。

 というのはさておきまして、今回の記事はいつもSSで書きたがってる僕の『テーマ』についての軽い補足とアイドルマスターっていう"世界"への日ごろの感謝を文章にして残そうというコンセプトのものでございます。

 どういうこっちゃってお思いの方がほとんどだと思うのでまぁ、それについては以下の文章に目を通していただけると嬉しい限りでございます。

 

 夢は夢で終われない

  はい、アイドルマスターシンデレラガールズのメインテーマソングともいえる「お願い!シンデレラ」のワンフレーズですね。

 なぜこのフレーズからスタートなのかというと、全てのアイドルマスターシリーズにおける一つの僕のテーマとも言える一文って何だろうなって考えるとここにたどり着くのかなって。(まぁ、僕がデレに重きを置いているPだから辿り着く歌詞なのかもしれませんが)

 僕がアイドルマスターっていう世界になぜこれほどまでに心惹かれているのかの一つに、女の子たちがトップアイドルを目指すという世界を多方面から魅力的に描こうとしている、っていうところがあるんですよ。

 ”憧れ”に手を伸ばそうとする女の子たちのストーリー

 こんなエモいものに心惹かれない理由、あります?

 というのは言い過ぎかもしれませんが、夢を追いかけようとする彼女たちの姿、憧れていた姿に近づこうと努力していく姿というのは幾つになっても魅力的に映るものです。

 だから基本的に僕の作品群はそういう”憧れ”というものにスポットを当てがちなんですよね。(これを同じような作品しか書けない言い訳にしていくつもりはちょっとだけある)

 しょーじきなところ、憧れに手を伸ばす、夢を叶えようとするってとてつもない労力だと思うんですよ。子どものころ描いていた夢、それを実現できてる方が世の中に何人いるのかって話だったり。みんな心のどこかでとりあえずの妥協点を見つけて現状に良い感じに着陸している訳で……。

 だからこそきっと、僕は心の中でそんな自分の代わりに彼女たちに夢を追いかけ続けて貰いたいのかなって思ってる次第です。

 まぁ、ありがとうという言葉しか出てこないですよね。僕のこのやるせない思いの託し先を作ってくれてありがとう。そんな感じです。

 

今回のお話

  はい、ということでここからは直近の拙作についての補足等を。普段は自作の解説なんかは全くしないのですが、ちょっと今回は文章に残しておこうかと思った次第です。け、決して閲覧数が伸びねぇとか感想が見当たんねぇとかからくる八つ当たり的なものじゃないんだからねっ!

 とりあえず以下にリンクを貼らせていただいて……

www.pixiv.net

  さて、まずは今回なぜ”高垣楓”をチョイスしたのかというところからスタートです。

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 まぁ、これについては結構単純な理由なんですけど、ちょうど一月前に誕生日を迎えまして、僕も25になりました。25歳。高垣楓氏と同じ年齢なんですよね。ずっと大人のお姉さんだと思っていた彼女と同い年になってしまった訳なんです。(まぁ、それを言ってしまうとあずささんはいつまでもあずさ”さん”だしタマ姉はいつまでもお姉ちゃんだからあれなんだけど) 

 そういう訳で今回は楓さんの物語になった次第です。

アニマス18話とデレアニ15話。

 この話数に心当たりのある方はいらっしゃいますでしょうか?すぐに出てくる読者の方がいらっしゃいましたら今すぐ僕と蒲田で握手です。

 っとまあそういう冗談は置いておきまして、僕が創作をしていくうえで、正直上記の二話はものすごく僕の創作のバックボーンともいえる物語となっています。

 アニマス18話はまぁ、これだけで思い出していただけると思うのですが、「いっぱいいっぱい」の回ですね。秋月律子最推しのPとしてはこの回は外せません。

 ステージからの景色というのは特別です。

 りっちゃんが今もミリオンの舞台でステージに立っているのは、きっとあの時の光景に心奪われ続けているからなのでしょう。

 って逸れましたね、楓さんの話に戻りましょう。

 デレアニ15話は楓さんのお話です。

 楓さんが始まりのステージに再び立つ物語。原点に立ち返り、自らの憧れのスタート地点からまた想いを発信していく、ざっくりとまとめるとこんなストーリーかと(詳しいことは楓Pに聞いてくれ。それかアマプラに来てるからそっちで自分の目で確認してくれ)

 ぼくにとって、楓さんという人物はちょっと特別な人間です。

 彼女はこの回でとある言葉を口にします。「ファンの人と一緒に階段を登りたい」と。

 きっとこのセリフにはあの世界におけるファンの皆、という意味と今こうして現実の世界で高垣楓を応援する担当Pのみなさんと一緒に、という両方の意味が含まれているのでしょう。

 そんな歩みを進めていく彼女に憧れて、今回彼女を物語の中心に据えさせていただきました。

 

高垣楓という憧れ

 今回の自作、ざっくりとあらすじを紹介させていただくと、とある青年が高垣楓に憧れて自らの人生の歩みを少しだけ進めていく物語。と、同時に、そんな憧れである楓さんの背中をちょっとだけ押してあげる物語です。

 とあるアイドルを担当するものとしては、高垣楓という存在はとても大きいものとなっています。

 高垣楓

 一時期は”無冠の帝王””無冠の女王”なんて界隈では呼ばれたりしていました。総選挙では常に上位に居てもなかなかシンデレラガールになれない。そんな彼女も第6回ではついにその頂点に輝きました。

 そして、シンデレラガールになった今でも、総選挙では必ずと言って良いほど彼女の名前が上位にあります。いちクールアイドルを応援するPとしては、高垣楓という壁はあまりにも強大で堅固なのです。

 彼女や他数名の人気のあるアイドルを越えなければ一つ楔を打ち込むことができない。まさに超えるべき目標の一つと言えるでしょう。

 そんな彼女だからこそ、僕はそこに強い憧れを抱いてしまいます。

 高垣楓は、彼女と共に歩みを進める存在ではなく、そこに向かっていく一つの到達点なのだと。

 そんな、憧れの先にいる存在だからこそ、今回こうして物語のメインに据えさせていただいた次第でございます。どうしても、今後ともSSを書き続けるいちアイマス物書きの一人としては彼女を扱ってみたかった。そんな感じでございました。

 

 また、シナリオの内容についても、僕がいちSS書きとしてこうありたいものだという自説が滲み出ていて恥ずかしい次第なのでございますが、その辺もまぁ表現したかったのだからしょうがないよね。ぐらいのノリで読んでいただけると嬉しいです。

 

アイマスは人生である

 ここからはまぁ、僕のアイマスへの愛と憧れについてちょっとだけ記述させていただこうかと。

 タイトルは某有名なコピペのパロですね。僕は資料室の宮沢さんが好きでした。

 

アイマスライブの名物ともいえる名刺交換。これやってると改めて思うんですよね。アイマスってすげぇ文化だなって。だって他のコンテンツでライブ前にあんなことやってるコンテンツ無いでしょ。

 その度にいちプロデューサーを名乗るものとして思うところがあるわけでございまして……。みんな自担好きだなぁ……って。

 まぁ、自分もその一人なのですけどね。

ぶっちゃけると僕がとあるアイドルの担当を名乗っている理由は、単純に顔が好きだからです。彼女の背景や背負っている想いなんかは実は二の次だったり……。それだけ他のアイドルのバックボーンが強すぎるっていうのもあるんですけど。

 顔がいい女は好きです。

 

 そんなアイマスの何が一番好きかっていうとやっぱり前述にもありますように、女の子がトップアイドルを目指して輝いていこうとするあのサクセスストーリーなんですよ。それを、我々が支えていく。コンテンツとユーザーの関係性とでも言い換えたらいいんでしょうか。

 カッコいいんですよね、どのアイドルも生き方が。

 そんな彼女たちが生き生きとしている世界に、僕はずっと心惹かれているし、これからも惹かれ続けていくのだと思います。

 

 そして、そんなアイドル達を応援していく我々ユーザー同士が繋がっていくあの感じも大好きなんです。名刺交換したPがSNSをフォローしてくれたり、そしてそんなプロデューサー達とオフでゲラゲラ笑いながらお酒飲んだり。ありがとうアイマス!おかげで酒が美味い!って感じですよ。

 リアルの人間関係の構築に一役買ってくれるのも大きいですね。

 そりゃ好きなものが同じ奴らが集まってんだ、楽しいに決まってる!

 

 ということで今後ともこんなくまたろうと宜しくしてくださると嬉しい次第でございます。

 

 僕らのM@STERPIECE

 最後に。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。思いの丈を書きなぐっただけなので稚拙な文章だし内容もイマイチなものになってしまいましたがご了承ください。

 アイマスというコンテンツに触れてそろそろ10年が経とうとしています。

 アーケードのころからやってないのでまだまだ新参のPですが今後とも良しなによろしくお願いいたします。

 

 また、SSの方もたくさん書いていきたいのでお時間や機会があれば是非是非読んでいただけると幸いでございます。

 

 僕らの小さな思い一つ一つが、アイドルマスターというコンテンツをおっきくしてくれますように。祈りながらこの辺で締めさせていただきます。

 

 それでは最後に一言だけ。

 

八神マキノをすこってくれ!!!

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三峰結華は偶像の夢を見るか

 アイドルマスターシャイニーカラーズ(以下:シャニマス)が正式にリリースされて一年と一月が経った。

 19人のアイドルたちとの様々な様相を綺麗なイラストや惹き込まれるテキストと共に我々に届けてくれるこのゲームに筆者自身もアイドルマスターのいちファンとして日頃から夢中である。

 

 さて、このゲームにおいては様々な面からアイドルたちの表や裏に触れていくことができるのだが、皆様は各担当アイドルについてどのような魅力を感じているだろうか。

 今回はそんな魅力溢れるアイドルたちの中でも私が担当を名乗らせていただいているアイドル『三峰結華』について筆者が思うところを書かせていただこうと考えているので、もしよければ最後までお付き合いいただけると幸いだ。

 また、最初に断っておくが、この記事に関しては三峰結華の各カードのコミュ内容(Trueエンドやサポートカードも含む)が多く含まれている可能性があるため、所謂ネタバレを気にする方はこの辺でブラウザバックをお勧めする。

 

 

『一歩後ろから見えるもの』

 さて、三峰結華というアイドルを掘り下げていくうえでまず欠かせないのが、「L'Antica」というユニットの存在である。

 シャニマスの特徴は何と言ってもユニット単体での活動だ。現在女性アイドルが活動するアイドルマスターシリーズはこのシャイニーカラーズを除く全てのゲームで楽曲やイベントごとに様々なアイドルがユニットを入れ替えながら活動している。

 その中で当然ながら自分と似たようなキャラクター、自分とは正反対の性格や容姿のキャラクター、年齢の差異、様々な差や自分との経験の差を感じながらそれを自らの糧とすることで成長していく様を描かれていることが多い。

 では、シャニマスにおいてアイドル間の関係性を見るのは何処になるのか、それはユニットメンバーとのやり取りを見ていくに他ならない。

 今後ユニットメンバー外との交流(クリスマスコミュやピクニックコミュ等)が増えていくにつれ更にキャラクターの魅力が掘り下げられていくことを考えると楽しみでならない。

 が、現在ユニットメンバーとの会話が詳細に語られているのは現状ユニットイベントやサポートカードでのテキストのみでの確認となっているのでそちらを軸に考えていきたい。

 

 三峰結華担当プロデューサー、また他担当プロデューサー各位は三峰結華についてどんなイメージをお持ちだろうか。

 コミュに目を通した方であればまず思うのは彼女は所謂「周囲に気を遣う子」であるということだ。

 では、なぜ彼女はそんなに一歩引いた場所から周りを見渡すようなポジションに付くようになったのだろうか。

 もしこれが各ユニット担当プロデューサーには語弊が無いように伝えたいが、イルミネーションスターズの三峰結華でも、放課後クライマックスガールズの三峰結華でも、アルストロメリアの三峰結華でも、ストレイライトの三峰結華でも、彼女は今のような一歩引いた位置からユニットメンバーを見守るようなポジションに落ち着くのではないだろうか。

 

 そんな三峰結華がなぜそんな一歩引いた場所から同じユニットのメンバー達を眺めるようになったのか、これは私の推測だがきっと彼女は上京してこちらでアイドル活動を始める以前からそのようなポジションに居たのではないだろうか。

 周囲に気を遣って、おどけた態度でまわりを時にからかったり、決して本音を常にひけらかす態度ではないが時折ぽろっと零す彼女の本心。そんな掴みどころのなさそうな人間関係に見ることのできる彼女の態度に惹き込まれたプロデューサーも多いのではないだろうか(現にここに一人いるのだ)。

 では、彼女がなぜそんな態度を周囲に取るのか。それに関してはpSSR【それなら目をつぶりましょう】三峰結華のtrueendにて若干の詳細が描かれている。

 プロデューサーに自分の苦手なことをぽつぽつと話す三峰。

  そんな彼女は会話の中でこう零すのだ。「……で、今みたいに自分勝手に話すくせして、最後まで踏み込めないように自分から一歩引いちゃうのとか……ずるいなって、思うの。……ね、もう踏み込めないでしょ?」と。

 苦手なことを語る流れで踏み込まれることの話をする、つまり三峰結華にとって自分の心に踏み込まれるのが苦手だと彼女は述べているのだ。

 ここで彼女がなぜ周囲から一歩引いた位置でメンバーやプロデューサーへと接してくるのかが見えてくる。

 彼女はただ自分の心の超えて欲しいラインを誰かに踏み込まれたくないのだ。そんな風にして作ってきた一線を、こうして今回のpSSRでプロデューサーへと口にするのは、この一年間で積み上げてきた彼女からプロデューサーへの信頼の結果だといえるのではないだろうか。

 

 そしてこれは感謝祭編での彼女の言動からも読み取れる。アンティーカがバラバラになっていくことを一人不安に思う咲耶。彼女に対して三峰はこう声をかけるのだ「取り返しのつかないことになっても遅い」と。これは過去に結華の親しい知人がこうなってしまったのか、はたまた結華自身がそうなってしまったが故か。

 親しい人がそうなってしまう、もしくは自身がそうなってしまうのが怖くて距離を作っていた結華が、アンティーカというユニットを通して改めて誰かと向き合おうとするその様。彼女が本音をぶつけることが出来る相手がユニットのメンバーだということが、この一年間彼女達が結んできた絆がある故なのではないだろうか。

 他ゲームのユニットが出会いを生むのなら、シャニマスのユニットは一緒の時間を作ってくれるのだ。

 

 そしてファン感謝祭編で彼女はプロデューサーにこう語りかける。「知られたくないものは知られたくないし、見せたくないものとか絶対隠しておきたい」と。彼女の過去に何があったかまでは現状推測することは出来ないが、彼女がリリース当初から見せるスタンスは変わらないまでも、その心を少しずつこちらに開いてくれるようになったのは1年という積み重ねゆえだろう。

 また、彼女はその後にこう語る。「……三峰も、見抜かれることを許しているわけで。今はそれで一旦おっけーしてほしいなー、なんて思ったりしちゃいます」と。コミュから垣間見える彼女の言動から少しずつ見える彼女の本心。そんな彼女の全てを今は知ることは出来ないが、今後知っていく過程も含めて、彼女のプロデューサーであることではないだろうか。

 

 

『スタートラインに立った君へ』

 ここからは彼女のもう一つの要素であるアイドルオタク三峰結華について掘り下げていきたいと思う。

 ここからは私自身の彼女への想いが文章の端々に現れると思うが、それは彼女を愛するが故の為ご理解いただけると幸いである。

 

 さて、「夢が叶う」ということがどれだけ難しいことか読者の方なら一度は感じたことがあるのではないだろうか。小さいころから憧れていた職業に就く、スポーツやコンクールなどで1位を取る。それは並大抵のことでは成しえない快挙と言えるだろう。

 三峰結華もそんな快挙を成し得た一人である。アイドルに憧れていた少女がいつしか憧れたアイドルたちと同じステージに立つようになる。この魅力こそ彼女の複数ある大きな武器の一つではないかと私は考える。

 アイドルが好きなアイドルというのは他のアイマスシリーズにも存在する。所謂一種の伝統的なところである。が、前述の彼女の周囲との距離感を考えると、そこにもう一つの面が見えてくるのではないだろうか。

 それは、彼女は憧れるだけで最初から憧れに近づきたかったわけではない。

 とあるシアターのアイドルは、彼女がアイドルになりたいと思った理由をこう語る。

「アイドルみたいにキラキラ輝けたら」と。アイドルにお近づきになりたい、などと聞こえたところはきっと読者の気のせいだろう。

 しかし三峰結華はそう口にはしない。

 彼女は19歳。夢を語るだけじゃ人生甘くないとしっかりと理解できる年齢であろう。ましてや彼女のことだ。夢は夢で終わってしまう、そう結論付けることだってあるだろう。しかし彼女はプロデューサーから声をかけられるという偶然の出会いから憧れた世界へと足を踏み出すことになる。

 

 彼女はWING編のシーズン1突破後にこう口にする。「三峰でもちゃんとアイドルやれてるし、まわりの人からも許されてるんだなって思えて、嬉しくて」と。許されているとはなんだろうか。夢を追いかけることは誰かの許可が必要なことなのだろうか。

 実はこのセリフ、三峰自身が周りの人というフィルターを通して自分のことを見つめた台詞なのではないだろうか。そう私は考えた。夢を追うという選択肢を取った自分、それをオーディション通過という結果を通してやっとその選択をした自分を間違ってないぞと言い聞かせるような、そんな台詞なのでは。

 

 そんな彼女はWING編シーズン3突破後にはこんなセリフを語るのだ。「でもさ、ここで満足なんてしてられないよね。ここまで来たら、絶対『W.I.N.G』に出てやらないと。…………私が、ちゃんとしたアイドルになれるように」と。彼女の言うちゃんとしたアイドルというのがどのようなアイドル像なのかは具体的なところは明言されていないが、きっと彼女の中にはそのちゃんとしたアイドルがいるはずだ。

 キラキラの舞台で、ファンの声援を一身に受けて、笑顔で歌って踊っている誰かが。

 そんなアイドルに彼女は近づこうとしている。自らの夢を自信に変え、そしてその自信を原動力に彼女は理想へと踏み出そうとしているのだ。彼女の夢はアイドルになることではない。彼女が理想とするアイドル像になることが、三峰結華の夢なのだ。彼女はまだ、そのスタートラインに立ったに過ぎないのだ。

 

 アイドルマスターというゲームは、アイドルになるという夢を叶えるところから始まる。全てのアイドルが、出会ってすぐにアイドルになるところからスタートする。それまでにどんな出来事があったのか、それを詳しく知ることは出来ないが、等しく彼女らや彼らからはアイドル活動を通してその信念を感じることが出来るだろう。そんな信念の中で過去の憧れを原動力に変え、そして今を走る彼女の力強さが三峰結華という少女の一番の魅力なのではないだろうか。

 

 「憧れは理解から最も遠い感情だよ」と、某五番隊隊長は口にする。三峰結華は知ろうとしているのだ。憧れのあの子と一緒の舞台から見える景色を。そしてその先にある世界を。

 

 そんな彼女は、今もアイドルという夢を走り続けている。覚めない夢のその先で、彼女が目指す世界の為に。

 

 これは私事なのだが、自身も一度夢を追いかけ挫折したことがある。才能も運も恵まれず、それによってぽっくりと折れてしまったのだ。だからこそ夢を追い続ける彼女に私は夢を見るのだろう。自分とは違う選択肢を追いかける彼女が、あまりにも眩しく見えてしまうのだ。そんな、私が憧れた世界を追い駆け続ける彼女の夢の行きつく先を応援し続けていきたいと私は強く思う。彼女が倒れそうなときに、しっかりと背中を支えてやりたいと。「……いつか、三峰が思う理想のアイドル」になれるまで。

 

 

『ラブソングはお好き?』

 さて、ここからは今まで以上に私の私見と妄想が入り乱れる文章になっているので聞き流していただけると幸いだ。

 ここでの話題はただ一つ、「三峰結華はプロデューサーのことが好きなのか?」の一点に絞る。

 

 そんなことはない、と声を大にして言いたいのだが、所詮アイドルマスターというゲームは突き詰めればギャルゲーである。というか765時代からしてあずささんの唇を奪えるんだからそりゃそうだ。

 ゲームの中の人物と言えど現代文の問題よろしく登場人物の心境なんて分かったもんじゃないし、ましてやコミュを書いているライターの気持ちなんて当人にしか分からないのだ。

 だからこそ憶測で語るのは自由なのではないだろうか。

 ということを前提に私は三峰結華がプロデューサーに抱いている感情は親愛ではなく信頼だと考える。

 

 彼女は至る所でプロデューサーに感謝の言葉を口にする。それはひとえに前述したように彼女が夢を追いかけるきっかけを作ったのがプロデューサーだからだ。

 今のところは彼女にとって理想のアイドルを目指すことが大前提で、そのきっかけとなったプロデューサーという信頼関係が存在するだけなのではないだろうか。

 それは彼女が【お試し/みつゴコロ】三峰結華においてプロデューサーのことを”兄さん”と呼び間違えることから伺える。

 彼女にとってプロデューサーは家族と同じぐらいに信頼できる存在なのだ。二人っきりの事務所、もし彼女がプロデューサーに恋心を抱いていたのならばそちらに意識が行ってしまいこんな呼び間違いも起こりえないだろう。これは三峰が普段からプロデューサーに対して恋心とは違うベクトルの、言ってしまえば家族との距離に近い存在を感じていたからに違いない。

 

 まぁ、いろいろと述べてみたものの急にイヤホン耳にぶち込んできたり名前で呼んだりするような彼女に全くそんな気持ちがないかと言われると筆者は黙ってしまうので触れないで欲しい。

 

 あえて弁明をするのならば、ユニットのところで触れたようにこれが彼女の周囲との距離の測り方なのではないだろうかということだ。あえておどけたりからかったりすることで相手の反応を伺いそこからどこまで踏み込めるのかを測る。もしこれが相手の琴線に触れてしまうようならふざけただけだと弁明する、これは彼女なりの一種の保険のかけ方なのだ。

 

 ギャルゲーにはエンディングというものが存在する。主人公と一人のヒロインがお互いに想いを伝えあって結ばれるというものだ。

 では、三峰結華の世界にとってエンディングとはどこなのであろうか。

 それはもちろん「三峰が思う理想のアイドル」になることだ。決してトップアイドルになることではない。もし彼女が理想の場所から世界を眺めた時、彼女は何を思うのだろうか。一緒に歩んできたプロデューサーへと恋心を抱く。それが彼女の夢のその先にある可能性の一つなのであれば、私はそれを嬉しく思う。

 

 さて、副題にも触れておこう。これは所謂私の勝手な妄想で、彼女のソロ曲でラブソングが聴きたいというだけのものだ。

 アイドルがラブソングを歌う。これは3次元の話でも2次元の話でもよくあることだ。

 歌に想いを込めて。

  さて、件の三峰結華がソロ曲でラブソングを歌うようなことがあればそこにどんな想いを込めるのだろうか。どんなメロディーで、どんな歌詞で、「好き」をどんなふうに発音するのだろうか。

 いろいろな経験をして、いろいろな想いを抱いて、リリース直後とはまた違うものが数年後に舞台の上で聞けて……なんてそんなことに思いを馳せるのも、案外悪くはないのかもしれない。

 

 

『夢が夢で終わらぬように』

 最後に、彼女への想いを短く述べさせていただく。

 容姿で好きになって彼女を知れば知るほどその繊細さに惹き込まれた。きっと彼女は自分と同じなんだと強く感じた。憧れがあって、茶化すような態度で本心を隠して、誰かとの心の距離で四苦八苦して……。

 だが、そんな彼女が自分と大きく違う点は、彼女は今憧れの先を目指して歩いているということだ。

 彼女は、夢を諦めなかった自分だ。彼女が理想のアイドルになれた時、きっと夢を諦めなかった世界線の自分も報われる。そんな気持ちが彼女の背中を押したくなる理由なのだろう。

 私は三峰結華というフィルターを通して、諦めなかった自分の行き先を見ているのだろう。

 彼女の夢が、そして私の夢が夢で終わらぬようにと。

 

 

 最後までお読みいただきありがとうございます。

 この文章は一介の三峰Pが駄文を垂れ流しただけのものになります。アイドルへの想いや解釈はプロデューサーの数だけありますので共感いただけない部分はネットの海にでも捨てていただけると幸いです。

 それでは皆様のプロデューサー活動が今後もより良いものであることを祈ってこの辺で筆を置かせていただきます。

 

 

 最後に一つだけ、三峰結華はいいぞ。